Film Review  2002.12 原文
強さの塔

By James Mottram

「悪魔のいけにえ2(ママ)」から「ある貴婦人の肖像」まで、幅広いジャンルの映画に出演しているヴィゴ・モーテンセン。「二つの塔」では中つ国を救おうとする役を演じているが、アクションヒーローとして、他の共演者よりもやるべきことがたくさんあるようだ。特に、今回は、エーオウィン(ミランダ・オットー)と美しいエルフ、アルウェン(リブ・タイラー)という二人の女性の間で揺れ動くアラゴルンを見ることができる。

Q: アラゴルン役をやるにあたって、心構えのようなものはありましたか?

僕はただピーター・ジャクソン(監督)の期待に添うように努力しただけさ。それから、トールキンが作り出した人物を忠実に演じようと心がけたよ。いつの時代という設定はないけれど、トールキンはだいぶ昔の話と考えていたと思う。いつ?って聞かないでくれよ!ただ、登場人物はアーサー王の時代という気がする。時代は特定されていないけれど、衣装や武器なんかはアーサー王の時代のものだよ。

Q: ニュージランドでの撮影はどうでしたか?

とても楽しかったよ。映画には、特撮じゃない本物の自然がたくさん出てくる。だからうまくやれたと思う。僕が演じている人物は、自然の中で暮らすことも好きだけれども、うまく暮らしていく必要もあったんだ。僕自身もそんなふうに楽な気持ちで仕事ができたよ。特に、準備期間が十分じゃなかったからね。森の中は楽しかったよ。朝の4時に釣りに行ったりしたんだ!

Q: この役を引受ける時、これまで出演したアクション映画のことを意識しましたか?

仕事をしてる時は、同じジャンルでも、今までの役のことは考えないよ。考えるとすれば、その役柄になり切るためにはどうしたらいいかということだけ。普通、大人になると一つの道を見つけるものだけど、俳優っていうのは、子供と同じで、常にどんな役でも演じることができるんだ。だから、僕はジャンルということは考えない。今回、俳優として助かったのは、ピーターがリアリティーを重視したこと。ファンタジー映画であってもね。寒い時は寒いし、泥んこの時は泥んこ。みんな、服はボロボロで、手も顔も真っ黒。でも、それが自然なんだ。

Q: 今回の映画でもそのことが強調されていると思いますか?

もちろんだよ。つまり、辛い目に遭った時には、エルフもホビットも皆、人間と同じ感情を持ち、人間と同じように行動するんだ。確かに、原作はエルフ中心で、トールキンはもっと多くの要素を入れたかったと言ってる。彼は言葉にとても興味があったからね。でも、実際は、オークやトロールのように姿形がどんなに奇妙な生き物でも、感情がある。まさにそれがこの物語なんだ。他の大作映画と違うところさ。登場人物もその関係もずっと複雑なんだ。これは、旅の仲間一人一人にとっての旅であり、自分自身との闘いでもある。そして、最後に和解して一つにまとまった時に初めて、苦しみを乗り越えたと言えるんじゃないかな。

translated by estel