CHUD  2003.12.16 原文
王の帰還 プレスジャンケット Part 5

ナイラ・ディクソン(衣装デザイナー)インタビューからの抜粋

Q: お気に入りの衣装はありましたか?

(一番好きなものを決めるのは得意ではないと言った後、アルウェンとセオデンの衣装について話す。)

アラゴルンの衣装は大好きよ。あれは間違いなく細部にまでこだわった衣装だわ。衣装デザイナーと俳優との間の本当に素晴らしい関係が、あのような衣装を作り上げるのよ。

参考写真:FOTR-SEEより 参考写真:FOTR-SEEより
(参考写真:FOTR-SEEより)

Q: ヴィゴの前に、最初はスチュアート・タウンゼント用にデザインしたのでしたよね?

大変だったわ。ヴィゴを知らなかったし。スチュアートと仕事をしている間は、とても大変な時期だったの。何が起こっていたかと言うと、アラゴルン用衣装のオリジナル・デザインと、スチュアートの時のアラゴルンの衣装が、何度も抜本的に変わったの。そして、そのプロセスのまさに一番最後に、またオリジナルの衣装に戻ったの。それは、古いスケッチを再発見した時に気付くようなことで、私が本当に、本当に気に入っていたものだったの。そして突然、「さて、スチュアートはいなくなった。新しい人を連れてきたよ。」という感じだったのよ。

そして、その日、つまり撮影が始まってから1週間経っていた日に、ヴィゴが私のドレッシング・ルームにやって来たの。私たちは2人とも特に何かを言うということもなかったわ。彼はとても物静かな人だし、私もこのような問題があるときは静かにしている人だから。私は、「とりあえず、これを着てみて、どうなるか見てみましょう。」と彼に言って、そこに立っていたのだけれど、とてもハラハラしたわ。なぜなら、私は実際にもう一度すべてのプロセスをやり直しても構わないという気持ちになっていたの。だって、それがどれだけ重要なことか分かっていたから。役を演じるのに、衣装が第2の肌だと感じることなしに、あのような役を演じたり、あのような巨大な映画をやることはできないわ。私は確かにそれをする覚悟はできていたけど、膝までトラブルに漬かっている衣装部門のドアを見つめている自分がいたのも確かよ。

参考写真:FOTR-SEEより 参考写真:FOTR-SEEより
(参考写真:FOTR-SEEより)

そしてヴィゴは少し歩き回ってみて、「このブーツに少しひもを足せると思う?」 と言ったの。その瞬間、彼が衣装をつけた時に、彼が着ると10倍は良く見えることが分かったの。それは、実際にはヴィゴの年齢と、人生での経験に関係していると思うわ。彼はもうその衣装に独自の命を吹き込んでしまったのね。私にとって恐ろしいことには、もしかしたら衣装を取り除いてしまいたいと思う俳優が来たかもしれないということ。でも、ヴィゴはそうしなかった。彼が望んだのは、足すことだったの。だから、その瞬間からヴィゴに恋してしまったわ。

translated by yoyo