Daily Granma  2003.5.9 原文
ヴィゴ・イン・キューバ: 俳優よりむしろ写真家

アンドレ・D・アブレウ

「私が関心があるのは、考えや感情、言葉やイメージを自由に表現し、交換できるということです。私はそのためにキューバに行きます。私たちの好奇心、そしてこの人生を通して受け取った印象を共有し比較したいという自然な欲求を自由にしてあげることは、絶対に必要だと心から信じて。私たちには相違点よりももっと沢山の共通点があります。招待していただき、学ぶ機会を与えてくれたことに感謝します。それでは、いってみましょう! (ヴィゴ・モーテンセン、2003年5月1日)」

Daily Granma の写真 5月1日の朝、北アメリカのフォトグラファーがハバナに到着した。その日に着いたのは、偶然ではなかった。彼は全てのフライト・オプションの中からそれを選んだのだ。なぜなら、彼は、空港を出て革命広場に直行し、キューバでの最初の写真を撮ってみたら面白いだろうと思ったからだ。しかし、税関での荷物の量と手続きに手間取り、写真家ヴィゴ・モーテンセンが街に到着した時には、文字通り、多くの人が家に帰った後で、キューバ人にとって特別な日が終わった後だった。

それにも関わらず、アーティストはこう言う。「家を離れることは常に冒険だよ。ハバナでは毎日何かが起こっているんだ。世界が知らないこと、写真家が見るようなことがね。僕たち写真家はいつも人より沢山のことを見るからね。」 彼は Fototeca ギャラリーで “a hole in the sun” という写真展を開くためにキューバに訪れた。彼の写真は、別の文化を探し求めて旅した、この地球上の異なる場所で見つけたオブジェクトと空間の抽象的な観察である。

「ずっとキューバを訪れてみたいと思っていたんだ。沢山のアメリカ人が思っているのと同じようにね。だけど、難しいことなんだ。今は1週間だけど、ハバナ・ビエンナーレ(ハバナ市内で開かれる大規模なアート展)の間に1ヶ月くらい戻ってきたいね。景色、街、壁、人々を学び、アートですべてのことがやり尽くされたわけでも、言い尽くされたわけでもないし、発見する物が少なくなることが終わりでも死でもない、ということを示すディテールを探すために。」

あなたが『ロード・オブ・ザ・リング』の2作でアラゴルンを演じ、そして3作目も控えているハリウッドの有名な俳優だということに、誰か気付きましたか?

「多少は。避けられないことだから、仕方ないと思ってるよ。映画は演技を研究した結果で(舞台『ベント』の演技でドラマローグ批評家賞を受賞)、できることを証明したし、上手くいっている。良い作品や悪い作品、色々な映画に出演したけど(『クリムゾン・タイド』、『インディアン・ランナー』、『サイコ』、『カリートの道』、『ある貴婦人の肖像』)、トールキンの小説を映画化したピーター・ジャクソンと仕事をした後は、世界中どこでも、みんな僕のことを知っているんだ。」

映画については、「人生で自分を取り巻くものから受けたインスピレーションをすべて注いでいるけど、自分は一部分、作品の中の1つの色にすぎない。」と言う。

スクリーンでのイメージという疑う余地がない力が、彼の他の仕事に影を落とそうとすることに対し、アーティストはこう結論付けた。

「ものを作り続けるのは、そうしたいからなんだ。写真展に来てくれた人全員が僕の映画が理由で来たわけではないし、それに、人生は短いんだ。落ち着いて、でも急ぐ必要があるんだ。」

translated by yoyo