Movieline  2003.12 TORn のスキャン
ゴーストを見る

ヴィゴ・モーテンセン、新作「ヒダルゴ」撮影中に撮った幻想的な写真について語る

19世紀末の馬のレースを描いた大作「ヒダルゴ」撮影中、この映画のスターで、画家、詩人、写真家としても知られるヴィゴ・モーテンセンは、ネイティヴ・アメリカンの儀式、ゴースト・ダンスの再現に深く感動し、自分でもフィルムに収めずにはいられなかった。露出を長くして得られた幻想的なパノラマ写真は、新しい作品集Miyeloにまとめられ、パーシヴァル・プレスから出版された。そのシュールな手法についてモーテンセンはこう語る。「この人たちが動いている時、その動きのエコー、フレームを通して動いている時の残像が見える。... コントラストがとても弱いので、風景と一体、空気と一体になって見えることもある。」

その手法は、記憶と幻覚半々の瞬間を写真にとらえるのに役立っている。「ヒダルゴ」の中でモーテンセンは、サウジアラビアに行って危険なレースに参加するポニー速達便の急使を演じている。ジョー・ジョンソン監督、シェリー・ジョンソンの撮影で行われている時、ゴースト・ダンスの結末とウーンデッド・ニー事件のことが「思い出され、それとは場所から何から遠く離れたその時の彼に取り憑いた。」撮影中に撮ったスナップ写真には、その俳優が、「干渉せずに彼らがしていることをとらえ、風景と一体化させようとする試みが表われている。」

その成果は、最近LAのスティーブン・コーエン・ギャラリーで展示され、12月には、NZ(彼が出演したLotR三部作のロケ地)でも展示されることになっている。これらの写真はモーテンセンの最新のアート作品であるが、これまでに次のような作品集も出版されている。NZ滞在中の写真と絵を中心にしたSignlanguage、プールを抽象的に撮ったHole in the Sun、1978以降の写真、絵、詩を収めたCoincidence of Memory。

しかし、最近のこの作品の中には、これまでで彼が最も心が駆り立てられた私的な作品が見られる。それだけ、ゴースト・ダンスとウーンデッド・ニーの悲劇は長年モーテンセンを魅了してきた。Miyelo(訳すと「それは私」)は、単なる写真集というだけではなく、描かれている出来事についての引用と背景の説明をまとめたものでもある。彼にとって、ゴースト・ダンスは「本質的なものと関わりたいという強い願い」を表現しているのである。

translated by estel