原文

キーリーラジオ、ノースカントリー子供クリニック、アメリカ野生馬保護運動がモーテンセンのアクティヴな関心事

最近モーテンセン氏に彼の最大の関心事について尋ねてみた。

彼は次の二つの団体を支援している。ニューヨーク州北部にあるノースカントリー子供クリニック（North Country Children's Clinic）と、サウスダコタ南西部のラコタインディアンの居留地向けに放送を行っているキーリーラジオ（KILI Radio）である。

パインリッジ居留区の最も高い地点にあるKILI, 90.1FMは、インディアンが所有し運営する中では全米最大の公共ラジオ放送局である。

キーリーラジオは、早朝の祈りから夕べのドラムサークルまで、この居留地向けに重要な放送を行っており、英語とラコタ語の両方で、毎日60以上もの公共サービス関連のアナウンスを行っている。

KILIとはラコタ語で「かっこいい（cool）」または「すごい（awesome）」の意味で、ポーキュパインクリニック（Porcupine Clinic）と密に連携して活動を行っている。このクリニックは、国内では唯一、インディアンコミュニーティーが独自に運営する健康クリニックである。

彼らのサービス対象となっているコミュニティーは極めて貧しい。

• パインリッジは全米で最も貧しい郡で、失業率は80%
• 幼児死亡率が全米で最も高い
• 平均寿命は、男性がわずか48歳、女性も52歳
• 家庭所得の平均は年間わずか3,700ドル
• 成人のほぼ半数が、栄養不足からくるII型（成人型）糖尿病である

モーテンセンは、サウスダコタで『ヒダルゴ』を撮影中、キーリーラジオとラコタ族をよく知るようになった。

この映画は、長距離ライダーでラコタ（スー）族の血を引くフランクT. ホプキンスの足跡を追ったものである。初めの方のシーンでは、ゴーストダンスとウーンデッドニーの大虐殺が再現されている。これは1890年にアメリカ第７騎兵隊の銃によって250人のラコタの人々が殺された事件で、そのほとんどは武器を持たない女性と子供であった。

結局モーテンセンは、ゴーストダンスに関する本を出版するまでになった。この本は、2003年3月にこの儀式を再現した際、シングルロールのフィルムで撮影した写真を集めたものである。これらの写真は、ラコタ及び他の部族が彼らの失われた世界を再現するためにゴーストダンスを踊った時の、神秘的で夢幻のような朦朧とした状態を捉えている。

"Viggo Mortensen: Miyelo"と題する、歴史に関するコメンタリーと写真から成るこの本は（モーテンセンの他の多くの作品と共に）、パーシヴァルプレスで入手できる。"Miyelo"の売り上げの一部は、パインリッジ・スアンヌビッグクロウ少年少女クラブ(SueAnne Big Crow Boys and Girls Club of Pine Ridge)に送られ、栄養価のある果物や野菜を使った軽食を提供する他、子供たち全員にクリスマスプレゼントを贈るために使われる。

ラコタ族の文化、伝統、健康の保護活動に関する連絡先（省略）

寄付は全て、キーリーラジオとポーキュパインクリニックの間で等分される。

モーテンセンは、2003年12月にサウスダコタに戻り、ビッグフットメモリアルライドに参加した。この行事は、1890年12月15日に酋長シッティングブルが殺されたキャンプからウーンデッドニーの大虐殺の現場までラコタの人々が旅したのを記念して、毎年12月29日に行われる。馬に乗ってのこの行進は、現在では、伝統的価値観と先祖への尊敬の気持ちを未来の世代に教えることを重点に行われている。

ノースカントリー子供クリニックは、ニューヨーク州ウォータータウンの子供たちに、より良い医療を提供するために1971年に設立され、今では地域医療の一つのモデルになっている。

現在この医療機関は、ニューヨーク州北部の４つの郡の、出生前から21歳までの子供及び若者を対象にしている。健康保険の加入、未加入を含め、子供たちの家庭環境はさまざまである。

このクリニックは、一次医療の他に次のような医療を提供している。

• 予防医療
• 歯科医療
• 毎年25,000人を超す地域の若者の精神医療

ヴィゴ・モーテンセンも支援しているこのクリニックに関する連絡先（省略）

--RWright

（原文は2004年の9ine Magazineに掲載されたもの）

コラム右

『ヒダルゴ』でモーテンセン演じるフランク・ホプキンスは、生涯にわたってマスタング種を擁護し、映画のラストシーンでは、アメリカ政府によって大量処分されようとしていた馬の群れを救う。

現在、アメリカの野生馬は再び深刻な危機に直面している。公の場での議論やコメントの機会もないまま、政府の包括歳出予算案にこっそり盛り込まれた付加条項のためである。

マスタングは、1971年の連邦法で「我々国民の魂の生きたシンボル」と認められている。（1971年制定「野生馬及び野生ロバに関する法律」）

だが、今回の新法は、家畜業者及び石油業者からの要請を受けた土地管理局によって、何千頭もの野生馬が野生放牧区域から追い出され、殺されることに道を開くものである。これらの馬は、解体処理され、食肉用として海外の馬肉取扱業者に売却されるだろう。

アメリカ野生馬保護キャンペーン関する詳細（省略）

モーテンセンの馬への敬意と愛情は、書物にも十分表れている。最近パーシヴァル・プレスから出版されたもう一冊の本は、タイトルが"The Horse Is Good"となっている。

ヴィゴ・モーテンセンが、モロッコ、サウスダコタ、モンタナ、カリフォルニア、アイスランド、ニュージーランド、デンマーク、ブラジル、アルゼンチン、「そして、おそらくは窓から見える所で」撮影したこの馬の写真集では、馬は「自らはいかなる好意も求めず、敬意には敬意を持って応える...パートナー、教師、ヒーロー」であることが示されている。

アメリカの野生馬に関するウエッブサイト（省略）

映画でヒダルゴを演じた馬のT.J. は、数あるアメリカ野生馬の一種のまだら馬である。

訳注： 団体名の訳は仮称です。