Film Review  2004.5
馬と私の関係

『ロード・オブ・ザ・リング』のスターが、なぜ『ヒダルゴ』を次に選んだか

By Judy Sloane

2004年2月22日 ロサンゼルス、セントレジスホテル

正装してプレス・ジャンケットに出席したことなどないのだが、これが終わったら、アクターズ協会賞授賞式出席のため、シュライン・オーデトリアムに急がなければならないので仕方がない。だが、一番残念だったのは、『ヒダルゴ』のスター、ヴィゴ・モーテンセンが、この衣装に気づいてもくれなかったことだ。シャレのうまいジャーナリストに『サンドビスケット』とも呼ばれるこの映画は、1800年代の末に実在した、有名な長距離ライダー、フランク・T・ホプキンスについての映画である。彼は、ムスタングのヒダルゴと共に、アラビア砂漠横断3千マイルの過酷なサバイバルレース、オーシャン・オブ・ファイアーに招かれて参加する。

驚異的な大成功を収めた『ロード・オブ・ザ・リング』三部作に続いて、『ヒダルゴ』を選んだ理由はいくつかある、とモーテンセンは語る。「とにかく、ストーリーがおもしろかったからなんだ。この人物のことは聞いたことがなかった。それに、好むと好まざるとにかかわらず、ウェスタンというジャンルを作り上げるのに一役買ったバッファロー・ビルが、この映画で取り上げられていたし。僕は、母方の家系を通して彼とつながりがあるんだ。それから、特にこの時代のアメリカの歴史も好きだしね。今思うと、『ヒダルゴ』や『ロード・・・』のような映画に一つでも出演できる俳優は多くはないと思う。どちらも、単なる物語ではなく、人に考えさせる、勇気ある旅を描いた本当におもしろい冒険映画だと思う。」

この映画に参加したもう一つの理由は、伝説的な俳優、オマー・シャリフと共演する機会だったことである。「ただ彼のそばに座って、シーンを演じ、あのエネルギーや魅力、存在感を感じているだけで、すごいことだったよ。でも、何と言っても、すばらしいのは彼の記憶力で、(40年前の『アラビアのロレンス』と)同じ撮影場所に来た時、それが急によみがえったんだ。デビッド・リーン監督のこと、時々ピーター・オトゥールと一緒に冒険したりひどい目に遭ったりしたことなどを、よく話していたよ。すばらしかったな。」

しかし、この映画にまつわる最も心温まるエピソードは、モーテンセンとヒダルゴ役の馬TJのとの間に芽生えた絆であった。「TJを買ったんだ」と、この俳優は得意げに言う。しかし、明らかに必要性を感じてか、こう付け加える。「僕はただ彼と離れたくなかったんだ。彼を所有することが問題じゃなくて、ずっと一緒にいたかっただけなんだ。」

彼がテーブルを離れようと立ち上がった時、夜のSAG授賞式に出席するかどうか尋ねてみた。彼は(『王の帰還』のキャストと共に)最優秀アンサンブル賞にノミネートされていた。彼は残念そうに、その時間はまだ『ヒダルゴ』の取材中だと言った。

translated by estel