MyMovies.net  2004 原文
ヒダルゴ:ヴィゴ・モーテンセンインタビュー

過酷なアラビア砂漠横断レースで大活躍、アラゴルン本人ことヴィゴ・モーテンセンが、新作アドベンチャーについて全容を語る

Q: ヴィゴ、あなたは『ヒダルゴ』で実在のカウボーイ、フランクT. ホプキンスを演じているわけですが、彼について実はあまり知られていません。実際この映画は、どれぐらいが伝説で、どれぐらいが事実なんですか?

ヴィゴ・モーテンセン: ストーリーにすぐれ、ハリウッドの古典的冒険映画を思わせるものなら、伝説が100%でも喜んでつき合うよ。実際は、実在した一人の人間と一頭の馬の話なんだ。僕はこの点をとても重視している。フランク・ホプキンスとヒダルゴについては、ネイティブ・アメリカンの様々な部族から最も多くのことを学んだ。なぜこの人たちが、明らかにアングロサクソンのものと思われる話を、何世代にもわたって、自分たちの文化と結び付けてきたんだろう?その点がおもしろいと思ったし、この映画が本物だということを証明するものだと思ったんだ。

Q: アラゴルンを3年間演じた後で、違う大陸で全く違う人物を演じるのは息抜きになりましたか?

いや、切り替えはそれほどはっきりしていなかったんだ。『旅の仲間』が成功した後、フランク・ホプキンスの役を得て、『二つの塔』の公開前に撮影を開始した。準備として、僕が乗るTJという馬に慣れたり、ラコタの人たちと会って言葉を学んだりする間にも、ニュージーランドまで行って撮り直しをしなければならなかったんだ。撮影中、サハラ砂漠の真ん中で、丘や砂丘に登ってケータイの電波をキャッチして、『ロード〜』のインタビューを何度かこなさなければならなかった。だから、これが終わったから次はこれ、というのではなかった。立ち止まって考えるヒマもなかったよ。

Q: 乗馬シーンにはさらにトレーニングが必要でしたか?それとも、中つ国の時代にもう十分修得していたのでしょうか?

ほんとに一生懸命やらなければならなかったよ。でも、子供の頃に乗っていたし、『ロード〜』でもやっていたので、普通俳優がやらないようなスタントも数多くやることができた。気に入った仕事と、人でも馬でも、気に入った仲間の時は、常に気持ちのいいものだし、実際、今回の映画でも、僕が乗った馬、特にTJとは楽しくやれたよ。

Q: 撮影終了時にTJを購入し、『ロード〜』でも馬を購入しましたよね。共演者を買うのは習慣になっているんですか?

人間はそこまでいかなかったよ!仕事が終わっても僕とつき合いたいと思わせるには、いくらお金があっても足りないよ!TJを買ったのは、ずっと友達でいるための方法だったからさ。

Q: 映画は砂漠の耐久レースの話でしたよね。撮影中最も辛かったのはどんなことですか?

砂埃のひどい日が何日もあって、馬も人も大変だったよ。一番危険だったのは、レースのスタートシーン。100頭もの馬が接近して立っているだけで、トラブルを招いているようなものさ。特に、全て雄馬の場合にはね。それが一斉にスタートとなると、大惨事の可能性もある。実際、ひどい落馬が何度かあった。ニ度目の撮影で、ある馬が一回転して倒れ、乗り手が大勢に踏み越えられた。彼は本当にひどい怪我をした。でも、五ヶ月後に復帰した時は、まだ撮影期間中だったので、また馬に乗っていたよ。プロデューサーたちは危険性に全く気づいていなかったけど、レックス・ピーターソン(馬の調教師、トレーナー)がその日いら立っていたのを僕はちゃんと知ってる。「自分たちのしてることが、全くわかっちゃいない。俳優まで巻き込んでいるんだぞ」って感じだった。

Q: 伝説の俳優、『アラビアのロレンス』のオマー・シャリフとの共演ですね。ギャンブルが趣味というのは有名ですが、ゲームなどはしましたか?

いや、しなかったよ。彼は馬好きでも有名なんだ。お金ができるとすぐギャンブルですってしまうか、勝てない競走馬を買ってしまうというから、馬と賭け事がほんとに好きなんだね!そばにいるのがとても楽しかったよ。仕事だけじゃなくて、デビッド・リーンやピーター・オトゥールのことを尋ねたりしたんだ。

Q: この映画が巻き起こした論争を受け入れられますか?

ホプキンスは、自分が言ったことを実際には一つもしていない、と主張している人が大勢いる。少数の人々がホプキンスの信用を傷つけようとする試みもあった。彼らは変なこじつけをしているんだ。この映画の信ぴょう性は疑わしい、だから、これはイスラムの人々やアラブの人々を侮辱する映画だ、というふうに。簡単だよ。映画を観ればいい。それが間違いだということがわかるから。

Q: 批判があったたことに驚きましたか?

ノー。全ての人を満足させようというのは無理だから。でも、「しぶしぶ観に行った映画なのに、うれしい驚きでしたよ」って言ってくれた、イスラムやネィティヴアメリカンのジャーナリストたちがいるんだ。これはドキュメンタリー映画じゃない。アドヴェンチャー映画なんだ。でも、異なる文化や言語を尊重する努力もしているのは確かだよ。

Q: 俳優のほかに、あなたは写真家、詩人、画家でもありますね。今回の撮影現場で、何かクリエイティブことをする機会はありましたか?

文章はたくさん書いたけど、絵を描く時間はあまりなかった。寝ているか馬に乗っているかだったから。でも、鞍袋がいくつかあって、その中に二台のカメラを隠しておいたんだ。超ワイドなシーンの撮影の時に、映画のカメラには映らない側から撮ったことが数回あったよ。ちょっとした気分転換の方法なんだ。仕事に戻った時、少しでも休んだ気分になるからね。

translated by estel