CANOE: JAM! Moves  2005.5.17 原文
クローネンバーグ作品、カンヌに衝撃を与える

By Bruce Kirkland -- Toronto Sun

フランス、カンヌ発 — アトム・エゴヤンは、そのフィルムノワール風の作品『ホエア・ザ・トゥルース・ライズ』で、多くのセックスとわずかな暴力を描き、カンヌ映画祭の喝采を浴びた。

同じカナダ人のデイビッド・クローネンバーグは、彼のドラマ作品『ア・ヒストリー・オブ・バイオレンス』で、わずかなセックスと多くの暴力を描き、映画祭にショックを与えている。

クローネンバーグは、一見困惑したように、昨日の記者会見でこう語った。そのオペラのようなアクション映画は、昨夜、コンペティション部門でワールドプレミアが行われている。「だが、セックスとバイオレンスは、常にとても良く合うんだ。ベーコンとエッグのようにね。」

「それに、映画におけるバイオレンスの歴史を見ると、バイオレンスには常にセックスの要素があり、セックスにはバイオレンスの要素があることがわかると思う。だから、僕には、それを追求するのは自然なことなんだ。」

クローネンバーグは、エゴヤン同様、トロントのフィルムメーカーである。カナダ映画は、2005年のコンペティション部門で、議論の多い、しかし、厳密に考え抜かれた内容の作品で大きなインパクトを与えている。

クローネンバーグの作品は、アメリカ中西部の理想的な一家が、その父親(ヴィゴ・モーテンセン)が彼の食堂を襲った2人の凶悪犯を殺した後にどうなったかを描いている。マリア・ベロ扮する、弁護士でその男の妻は、事件後、初めは心配する程度だが、事態がさらなる暴力を含んで手に負えなくなるとショックを受ける。夫婦の性生活も変化し、危険な新局面へと入り込んでいく。

モーテンセンは、ピーター・ジャクソンとクローネンバーグの両監督について、バイオレンスというテーマの追求の仕方を高く評価していると述べた。「それは道具なんだ。」 『ロード・オブ・ザ・リング』(アラゴルン)と『ア・ヒストリー・オブ・バイオレンス』で、彼が演じる人物が用いるバイオレンスについて、モーテンセンはこう語る。

「彼らの行うバイオレンスは、経験によって得たものであり、用いる必要があったものだ。いずれの場合も、バイオレンスが特に美化されたり魅力的に描かれたりはしていない。特に今回の作品では確実にそう言える。僕にとっては、これは他の様々なことを描いた映画なんだ。」

その「様々なこと」には、権力と家族、秘密と嘘といった問題も含まれている。

ただし、バイオレンス、特に極端なバイオレンスを描く場合、フィルムメーカーには責任がある、とクローネンバーグは言う。しかしそれは、通常よく言われる、観客を保護するため、というだけではない。

「それは、映画というアートに対する責任なんだ。... まず第一に、映画そのものに対して忠実でなければならない。脚本の持つ可能性を実現するための努力なんだ。」

クローネンバーグは、映画の中の暴力が社会の暴力を助長する、という批評家の非難にはうんざりだと語る。

「映画で見たから、人殺しをするのだろうか?だとしたら、世界の人口は激減しているだろうね。

「バイオレンスに関して我々がこの映画で行ったことは、非常に信頼がおける。それはこの映画が、バイオレンスの性質について、そして、それが社会、家族、人間生活、人間の体に与える影響について真剣に論じているからなんだ。」

translated by estel