ARTE  2005.5.16

ビデオを見る

Q: スクリプトを読んだ時、どういう点に惹かれましたか。

ドラマとして面白いストーリーだとすぐに思ったんだ。今回のようにちゃんとした監督が手がければね。監督によっては、暴力をウリにした単純な映画になってしまうおそれがある。ドラマの設定が気に入っているんだ。状況が手に負えなくなり、登場人物が以前よりも自分自身や自分の秘密に対して正直にならざるを得ない状況に追い込まれ、実際そうなってしまう。即惹かれるね。こういう点がおもしろいと思ったし、今もそう思う。劇場で観てもこの点が一番だと思う。

Q: 暴力は避けられないものだと・・・。

そう。世界のどこでも起こる。アメリカでも。人間の、いや、ほとんどの動物の歴史上、いたるところで起こっている。暴力は一つの生き方にもなっている。残念なことだけど。

Q: この映画では、暴力は必要なものということでしょうか?

この映画の結末で述べられているのは、確かに暴力は常に存在するが、人間として暴力を拒絶する道も選択できる、ということだと僕は思う。 結局は自分の選択にかかっているということなんだ。

Q: 面白いことに、西部劇に似ていると思いませんか?

その通り。映画の作りもそんな風だったよ。音楽、照明、演技。西部劇そっくりだと思う。

Q: 撮影現場でのクローネンバーグ監督はどうでしたか?

彼はみんなに参加を促してくれた。どの監督も彼のようだといいんだけど、ほんの一握りしかお目にかかったことがない。人間がしっかりできていて、よくオーガナイズされ、準備がちゃんとできているプロである一方、撮影の時はオープンなんだ。俳優、カメラマン、撮影技師、誰にでも助力を仰ぐ。チームワークという感じなんだ。もちろん、最終的な作者で、全てを決定するのは監督だけどね。でも、こちらもゆとりを感じるし、リラックスできる。声を荒げることもない。今までの作品から、どこかゆがんだ性格の人と思われがちだけど、実際にはとてもユーモアのある人なんだ。ありがたかったのは、撮影中、気持ちの上で辛くて不快な日も多かったけど、現場では常にジョークが絶えなかった。撮影がとても楽しかったよ。監督はとてもユーモアのセンスのある人なんだ。ダークなユーモアだけどね。(笑)でも、いい人だよ。

translated by estel