Canada AM  2005.9.9

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司会者: これは『フライ』からのシーンですね。デイヴィッド・クローネンバーグの数ある作品の中でも、最も有名な作品の1つです。デイヴィッド・クローネンバーグはもちろん、カナダの中でも最も偉大な監督ですが、新作『A History of Violence』の主演ヴィゴ・モーテンセンと一緒にスタジオに来てくれました。今では彼は老若男女を問わずロード・オブ・ザ・リングのアラゴルンとして知られています。2人とも来てくれてありがとう。ちょっとヴィゴを見てください。これ映りますか?トロント・フィルム・フェスティバルに Habs (モントリオール・カナディアンズ)のロゴをつけてますよ。

デイヴィッド: 彼はこのシンボルが何を意味してるのか本当に知らなかったんだ。彼はこれがトロント・フィルム・フェスティバルのロゴだと思ったんだ。[司会者が爆笑する]

ヴィゴ: モントリオール出身の人が「これがフェスティバルのシャツだから」って言うんだ。

司会者: あなた、それを着るの?(笑)

司会者: まず最初に、新作の完成おめでとうございます。デイヴィッドにまず聞きたいのだけれど、レイフ・ファインズ主演で『スパイダー』を作って、今度の作品『A History of Violence』は他の人にとってもそうだけど、僕にとっては古典的なウエスタンを思い起こさせる作品になってるよね。現代のウエスタンとでも言うような。

デイヴィッド: その方向になることは分かっていたよ。実は、ハワード・ショアとどういう音楽にすべきかも話していたんだ。ウエスタンについても話したし、ジョン・フォードのウエスタンについても話した。そのトーンを得るために、ハワードは大量のウエスタンのDVDを持ってるんじゃないかな。そして、この映画はそのことを皮肉っているわけじゃないんだ。わりと誠実に取り組んだと言える。最後には奇妙な場所に連れて行かれたような気分になるけどね。

司会者: 本当に奇妙だね。でも、あなたの作品だから。(笑)

デイヴィッド: みんなは『デッドゾーン』以来のメインストリーム作品だって言っているけど、それが一体何を意味しているのかは分からないよ。

司会者: 敢えてそうしたの?それとも、偶然そういう結果になったの?「ああ、これは多くの人に気に入られる映画かもしれない。ラッキーだな」という感じ?

デイヴィッド: いいや、私としては意図的にそうしたんだ。[司会者が爆笑する] 一番お金が儲かって、出来る限り多くの人々に受け入れられる作品を目指したのさ。完璧じゃないけどね(笑)。もう何年も売ろうとしてるんだけど、誰も買ってくれないから、いつかは誰かが買ってくれるんじゃないかなと思って。

ヴィゴ: 今見た『フライ』のシーンのようなのが実はあるんだ。僕の妻を演じているマリア・ベロがあんな風に天井を這いつくばるところが。

デイヴィッド: 僕は、あれは昨夜の自分の映像かと思ったよ! [司会者が爆笑する] ちょっとカゼをひいちゃってさ、壁を登ってるような気分だったんだ。

司会者: ヴィゴ、ロード・オブ・ザ・リングの後は、やりたい役が選べる立場になったと思うのだけど、こうしてデイヴィッドの映画に出たわけだよね。なぜこの映画に出ようと決めたの?

ヴィゴ: 「イエス」という代わりに「ノー」と言うことだっていつでも出来るんだ。イエスと言うには、誰か一緒に仕事をしてみたい人がいないとね。デイヴィッドがこの映画のために僕に会おうとしてくれて良かったよ。撮影は楽しかった。デイヴィッドがどう思っているかは知らないけど、僕は彼の映画の中ではこの作品が一番好きだよ。これは完成された、非常にうまくいった映画だと思う。クリエイティブで、考え抜かれた映画で、シナリオも良く、演技もいい。その意味で、おそらくこれまでで最高の映画作りの経験であり、最高の仕上がりの作品だよ。僕にとってはそうなんだ。自分が携わった中ではベストだよ。

司会者: そうなんだ。

デイヴィッド: ところで、僕たち結婚するつもりなんだ。 [ヴィゴ爆笑]

司会者: この国では可能だね。

デイヴィッド: まず、妻と話をつけてからね。今、話し合ってるところなんだ。妻もヴィゴのことが大好きだから、多分大丈夫だよ。

ヴィゴ: みんな「デイヴィッドは風変わりで怖い人だと思っていたけど、実際に会ってみたらナイスガイだった」って言うだろ? 僕はそれは違うと言わざるを得ない。今ここには警備の人たちがいるから安心して言っちゃうけど、彼はおそらく僕がこれまで会った人の中でも最も暴力的な男なんだ。[デイヴィッドがヴィゴをこずく] もし彼が映画作りをしていないとしたら、おそらく精神病院の地下室に閉じ込められているだろうね。彼を自由にさせておくなんて危険だもの。

デイヴィッド: 生きたままのネズミを食べたりしてね。

ヴィゴ: 家でやってるようにね。 [司会者が爆笑する]

デイヴィッド: つまりヴィゴが言ってるのはこういうことなんだ。ヴィゴは僕が優しくて分別のある男だと思っていたんだ。実際に僕に会うまではね。撮影現場で真実がばれたってわけさ。

司会者: ヴィゴ、じゃあこの質問には正確に答えてね。デイヴィッドがどんな人間だって確証したのだから。この映画をやる前は、デイヴィッドの映画の中ではどれが一番好きだった?

ヴィゴ: トーンや見え方という意味でこの映画に最も関連づけできて、一番自分で楽しめたのは『デッドゾーン』だよ。僕にとっては姉妹編のように思えるんだ。随分昔... 20年前に撮ったやつだけど。この2つ作品は、一緒に見られるんじゃないかな。もしかして、いつか2本立てで見られるようになるかもね。

デイヴィッド: 実は、『デッドゾーン』も『A History of Violence』も面白い帽子をかぶった保安官が出てるんだ。そこがキーなんだよ。

ヴィゴ: この2本は合ってると思う?

デイヴィッド: そう思うよ。面白い2本立てになるんじゃないかな。

司会者: あなたたち2人はお笑い芸人としてもやっていけるね。(笑)

デイヴィッド: 当てにできるものがあるってことはいいよね。

司会者: そうだね。トロント・インターナショナル・フィルム・フェスティバルは口コミの噂がすべてだけど、この映画はすごい評判を得てるよね。おめでとう。今朝は来てくれてありがとう。

translated by yoyo