Late Show with David Letterman  2004.3.4

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Q: 最初のゲストは、素晴らしい俳優で、明日公開の新作『Hidalgo』のスターです。皆さん、ヴィゴ・モーテンセンです!

[ヴィゴが入場する]

Q: この番組にようこそ。

招待してくれてありがとう。

Q: 来てくれて嬉しいよ。今ちょうどアカデミー賞にノミネートされたビル・マーレーを見たところなんだけど(訳注:ビルは番組のオープニングのコントに登場していた)、あなたが出演した映画は、アカデミー賞で随分と良い結果を得ましたね。

ええ、まあ良い結果だったね。

Q: 授賞式には出席したの?

いや、出席しなかったよ。家族が来ていて・・・両親や家族の半分が僕の家に来ていたので。

Q: もし家族が来ていなかったら、授賞式に出席した?

うーん、[少し考え込んだ後、笑う] おそらく行かなかっただろうね。[観客が笑う]

僕は家族と違って、毎年アカデミー賞を見るという習慣がないんだ。だけど、彼らは見たがってね。家に着くと、「テレビはどこだ?」って聞くから、「テレビはないよ」って言ったんだ。[観客が笑う] だから、友人に電話して、家族全員で押しかけてオスカーを見ていいかってお願いするはめになったよ。[観客が笑う] 友人は「分かったけど、今すぐ?」って言うので、「今年やるやつだろ?だから、今すぐだよ」[観客が笑う]

5分で友人の家に駆けつけて、僕はこう言ったんだ。「みんなはTVを見て楽しんでくれよ。僕は何か食べるか、昼寝でもするから」[観客が笑う] 不運にも、その友人宅にはキッチンでも、リビングでも、ゲストルームでも、ほとんど全部の部屋にテレビがあるんだ。僕はゲストルームにいて、明かりを消して、テレビを消して、横になっていたんだけど、テレビが聞こえてくるんだ。サラウンドサウンドのオスカータイムのようにね(笑)。ロード・オブ・ザ・リングが最初のオスカーをとったところで、こう考えたんだ。「この暗い場所でマヌケみたいに横になっているか、勇気を持って部屋を出て、他のみんなと一緒にキッチンでテレビを見るか」ってね(笑)。[観客が笑う]

Q: いくつか面白い考えが浮かんできたよ。[観客が笑う]

見て良かったと思っているよ。良い結果に終わったからね。

Q: そう、悪くはなかったよね。11部門のオスカーを獲得したわけだから。[観客が笑う] これらの映画は、あなたの人生の数年を占めているわけでしょ?2年、3年...

4年だよ。

Q: たとえノミネートされなかったとしても、(賞レースが)どうなるかってことに興味を持つと思うんだけど。実際には11部門にノミネートされたんだよね。なんでテレビを持ってないの?[観客が笑う]

[しばらく笑う] 電話は持ってるよ。[デイヴと観客が笑う] 冷蔵庫も、ドアもね。ただ、テレビが必要だとは思いつかなかっただけなんだ。[観客が笑う] 両親が来たとき用にね。

Q: 自分がショウビジネスにいるってことは分かってるよね?

[しっかりカメラを見つめて] ええ。(笑)

Q: あなたのことを少し教えてくれない?出身は...?

マンハッタンで生まれたんだけど...

Q: まさにここで生まれたんだね!

そう。ニューヨーク・ホスピタルで生まれたんだ。だけど、僕の父は一箇所に落ち着かない人で、様々な場所で仕事をしていたんだ。11歳までは南米で育った。一番長いのはアルゼンチン。中でもそれは良いことだったんだ。その頃は農場に住んでいて、たくさん乗馬をしたからね。明らかに今映画でやっていることに役立っている。

Q: 美しい国だよね、アルゼンチンは。

アルゼンチンは素晴らしいよ。ニュージーランドにとても似ているんだ。非常に美しいところだよ。子供としてはたくさんの自由を与えられて良かったよ。長男だったから馬に乗ってどこかに行ったり...

Q: 危険なの?つまり、子供の頃アメリカでは心配しなくてもよいことが、向こうでは気をつけないといけないとか...

いいや。・・・つまり、子供の頃って、それほど物事を恐れないだろ?例えば、乗馬に出かけて、落馬すれば馬に乗りなおすし、馬に逃げられれば歩いて家に帰るし...[観客が笑う] マンハッタンと同じだよ。(笑)

子供っていうのは時折マヌケなことをするもので、大人になって思えば、それは危険なことだって分かるのだけど。ある時家に帰る途中、パドックを通って、いくつかゲートを開いて入っていくんだけど、最後のゲートに手をかけようとしたところで、ラッチにとってもキレイな蛇が巻きついていたんだ。オレンジと黒と白のストライプ柄のね。[観客が笑う] それで、これを持ち帰って家族に見せなきゃって思ったんだ。つかもうとしたら蛇が噛みつこうとするので、気絶させようと叩いたんだ。それで首のところをつかんで、戻って父にこう言ったんだ。「父さん、これ見てよ!」 父は仰天してたよ。なぜなら、それはサンゴヘビだったんだ。もし噛まれたら、2分か3分で死んでしまうほどの猛毒を持つ蛇なんだ。

Q: オーマイガッド!じゃあ、気を失ったサンゴヘビを持って馬に乗ってたの?

その蛇が目を覚ましてね。僕を見るんだ。[蛇の真似をする]

Q: それで、あなたが蛇を持っているのを見て、お父さんはどうしたの?

うん、父と僕でもう少し殴打したよ。[観客が笑う] 申し訳ない。[観客が拍手] 言っておくけど、蛇は好きだよ。

Q: あなた自身も息子さんがいるんだよね?

ええ。

Q: 何歳なの?

16歳だよ。

Q: それって、地獄?もう悪夢のような状態?それとも、16歳の息子を持つことは問題ない?

素晴らしいことだよ。彼はとても良い人間なんだ。本当に僕の一番の親友だよ。もちろん、父親や大人をちょっとバカにしたような態度はあるけど。[観客が笑う] それは自然なことなんだ。

彼は今、運転を習っているよ。僕が運転を教えてあげようとしているんだけど、マニュアルなどで少しでも運転について勉強した途端、僕の運転にとても批判的になるんだ。[観客が笑う] 今では彼がいると緊張しちゃうんだよ。ターンシグナルをちゃんと出しなよって言われたり、駐車すれば距離を測られて、縁石から45cm離れてるって指摘されたり。本当に緊張しちゃって、今では他の車にぶつけちゃったりして、最悪だよ。

彼は運転の許可証をもらってあるのだけど、彼が運転する時は、僕は最悪の同乗者なんだ。こんなふうにして座ってね。[体を硬直させる] 駐車している車にぶつけるんじゃないかと心配しながら。・・・車がこんなに危険なものだとは知らなかったよ。[観客とデイヴが笑う]

だけど、彼は大丈夫だよ。上手いんだ。僕よりずっと注意深いしね。本当に良い子なんだ。

Q: マンハッタンで生まれたって言ったけど、南米からいつマンハッタンに戻ってきたの?

えーっと・・・

Q: 俳優を始めたのはいつ頃なの?

僕が11歳の頃に両親が別れて、アメリカに戻ってきてニューヨーク北部に移ったんだ。カナダに近いサウザンド・アイランズ辺りに。学校が終わってからは、たくさん旅をした。父の故郷のデンマークに住んだこともある。それからニューヨークに戻ってきた。俳優は、他のことと同様にただトライしてみたもので、ウォーレン・ロバートソンという人に随分と励まされたんだ。彼は素晴らしい先生だよ。彼が勇気づけてくれて、それで続けてみたんだ。

Q: 駆け出しの頃は、生活できるほどの収入があった?

たいていは、ほとんど収入がなかったよ(笑)。大部分の俳優と同じように、長いこと収入はなかった。もし、きちんとした生活をするだけの収入を得ることが難しいと最初から分かっていたら、おそらく途中でやめていただろうね。

Q: でも、ある日、電話を持つことはできたわけでしょ?[観客が笑う]

それも考えたよ。エージェントが言うんだ。なぜなら、以前僕は何日かにいっぺん公衆電話に走って、エージェントに電話するんだけど、「オーディションがいくつかあったけど、昨日だよ。運がないね。」[観客が笑う]

ある時電話を買って、家に置いたんだ。僕はつながってるのをじっと見つめていたんだけど、そわそわしちゃうんだよ。ヘンリーが運転するのを見ている時と同じようなヒドイ感覚に襲われるんだ。この物体が本当にコワイんだ。そしたら、電話が鳴るし!

Q: オーマイガッド!(笑)

僕のエージェントだった。「何の用だよ!」って言ったら、彼は「電話がちゃんとつながっているか確認しただけだよ。使い方に慣れるようにね」と言った。その次に電話が鳴ったときには、裏口の窓から放り投げたけどね。[観客が笑う] カリフォルニアに越してきた時に電話を持ったよ。

Q: この映画『Hidalgo』は、とてもエキゾティックでロマンティックで、素晴らしいスピリットを持っているよね。これは実話なの?

僕が演じているのは、フランク・T・ホプキンスという1890年代のカウボーイで、彼は多くの耐久レースを勝ったことで有名で・・・

Q: バッファロー・ビル・コーディと一緒に働いたことで有名になったんだよね?

彼と、映画のタイトルでもあり、彼が乗ったマスタングのヒダルゴは、アラビアに行くチャレンジに招待された。アラビアの紳士たちは、僕たちが世界一の耐久レーサーだとバッファロー・ビルで紹介されているのが気に入らなかったんだ。

Q: 砂漠のレースでしょ?

そう。

Q: これから映画のクリップを見るんだけど... どのシーンか分かる?

レースのスタート部分だよ。中でも僕が好きなシーンなんだ。多くの人がこの映画を見た時に、「ハリウッドがアラブ人やネイティブ・アメリカンを敬意を持って扱っているのは良いことだ」って言うけど、僕はカウボーイも敬意を持って扱われていると思うんだ。彼らは多くの場所でいわれのない非難を受けているけど、カウボーイは自分たちの知識が欠けていることや、知らないことを敬服し、少なくともそのことに好奇心を抱くんだ。このシーンで少しそれが分かると思うんだけど...。

Q: 『Hidalgo』です。見てみましょう。

[映画のクリップが流れる]

Q: あなたは馬を気に入って、その馬を買ったんだって?

彼の名前はTJといって、とても良い友達になったんだ。実は、彼がこの映画で一番素晴らしい俳優なんだよ(笑)。個性があって、存在感があるんだ。

Q: 映画は明日公開です。大作のようだね。大ヒットになることを期待してます。

気に入ってくれるといいけど。

Q: [握手をする] 電話してよ。

いいよ(笑)。

Q: ヴィゴ・モーテンセンでした。

乗馬にいきたい?

Q: もちろんだよ。

translated by yoyo